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						 夫婦というのは何十年も連れ添うと空気のような関係になってしまうのでしょうか? 
 共に過ごしていく内にお互いのありがたみを忘れてしまったり、交わす言葉が無くなってしまったり…。 
 
 真織・敏夫夫妻もそんな熟年夫婦だった。 
 敏夫は元来口数が少ない男で、年々会話が減っていたが真織は大して気にしていなかった。 
 だがある日、家に遊びに来た孫・信二から 
 
 「お爺ちゃんとお婆ちゃんって仲悪いの?」 
 
 と言われショックを受ける。 
 孫からそんな風に見られていたなんて…。 
 そんな思いに駆られた真織は渋る夫を説き伏せ数十年ぶりの夫婦二人きりの旅行に出掛けるのだった。 
 
 そして出先の温泉地で無理矢理はしゃいでみせる真織。 
 だが敏夫は相変わらず不機嫌そうだ。 
 真織は段々不安になってくるが、そこは数十年連れ添った夫婦。 
 真織の心情を見透かし大笑いする敏夫。 
 そして今までの自分を反省し詫びを入れればもう何のわだかまりもありません。 
 しっぽりと人里離れた温泉宿で愛し合います。 
 この先もずっと変わらぬ愛を誓い合いながら…。 
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